米焼酎
産地・造り方の特徴
米焼酎は、米を主原料とした焼酎で、全国各地で造られています。古くからの産地としては、球磨地方(熊本県球磨郡及び人吉市)が知られています。
清酒と同じで米が原料ですが、精米歩合は様々です。
清酒では70%から40%程度まで精米して製造するのが一般的ですが、米焼酎では食用と同じ精米歩合90%程度のものから高精白のものまで使用されています。
麹原料は米を使います。また、白麹菌を使うのが一般的ですが、香味の個性を求めて黒麹菌や黄麹菌を使った仕込みも行われています。
1次醪で酵母を十分に増殖させて後、蒸した米を加えます(2次醪)。2次醪は、最高温度27~32℃で、10~15日発酵させると、アルコール分17~20度になります。
なお、黄麹菌を用いて製造する場合は、最高温度を25℃程度に抑えて推移させます。
減圧蒸留で製造される場合が多いものの、常圧蒸留でも製造されます。また、両者の個性を生かすために、ブレンドされる場合もあります。
歴史
いつ頃どこから球磨地方に米焼酎の製造技術が伝わったのか明確ではありませんが、諸説から江戸時代中期(16世紀末~17世紀初め)頃ではないかといわれています。
球磨地方では、大正時代の初めまで、煮た玄米(煮米)と麹で焼酎を仕込んでいました。煮米と麹と水を小桶や甕に入れ、そのまま30日ほど自然に発酵させてから蒸留しており、できあがった米焼酎は独特の風味を持つものでした。
まず低温で乳酸菌が乳酸をつくり、次第に温度を上げながらアルコール発酵を進めるという、自然の微生物を巧みに利用した発酵様式は清酒の生酛と似ており、また蒸留前には木灰を加えて算を中和していました。
その後、白米でも製造されるようになりますが、どんぶり仕込みから清酒二段仕込みになり、1942年頃から、鹿児島式の1次醪、2次醪と分けて仕込むスタイルへ移行していきます。
また、球磨地方において黒麹菌が使われるようになったのは1970年以降のことです。
1973年に焼酎用減圧蒸留機が福岡県で開発され、本格焼酎における、いわゆる「減圧革命」が起きました。減圧蒸留は、大分の麦焼酎、宮崎のそば焼酎の製造法にも影響を与え、減圧蒸留を主体としたライトタイプの製品が誕生し、消費拡大にも寄与しました。
香味の特徴
日本人の主食である米から造られる米焼酎は、炊き立てのご飯のような親しみのある香りで、料理のおいしさを引き立ててくれます。常圧蒸留による味わい豊かなもの、減圧蒸留による華やかな香りや味わいの軽快なもの、さらに甕や樽でこだわりの熟成をさせたものと、タイプの違いを楽しめるのも米焼酎の魅力です。
味わい豊かなタイプはお湯割りでゆったりと、華やかな香りや軽快な味わいのタイプはロックでさっぱりと楽しむことが多いようです。